本好きの人が、読んでいるだけで心が温かくなる本があります。
大崎梢さんの本は、ミステリー要素もしっかりあるストーリーで読みごたえもあります。
ギスギスした胸が詰まりそうな事件ではないのでミステリー小説を読みなれていない人にも受け入れやすいストーリーだと思いますし、登場人物のキャラクターにも好印象を感じる素晴らしい小説だと思います。
でも、大崎梢さんの本の良いところはそれだけではありません。
本好きな人が読むと、登場人物たちの態度と行動に沢山の共感する気持ちが生まれます。そんなストーリーを読んでいるだけで心が温かくなって、心地良くなります。
それは、「大崎梢さんの本が、本への愛に満ちている。」からだと思います。
今回ご紹介する本は、大崎梢さんの「27000冊ガーデン」です。
大崎梢さんは、元書店員でデビュー作の「配達あかずきん」は、2人の書店員が身近な商店街などで起こる事件を解決していくストーリーで、斬新なミステリー小説だな。と楽しく読みました。
今回ご紹介する「27000冊ガーデン」は、県立高校の図書館が物語の舞台で、その図書館の学校司書と本を納入している書店員の2人が、学校で起こる事件を解決していくミステリー小説です。
「配達あかずきん」と同じように元書店員の大崎梢さんの経験が生かされた本であり、大崎梢さんの本への愛に満ちた作品だと強く感じました。
学校の図書館を盛り上げようとがんばっている学校司書「駒子さん」、鋭い推理で事件解決の糸口を推理する書店員の「針谷さん」、駒子さんと一緒に図書館を運営している図書委員たち、登場人物みんなの態度や行動から「本を好きな気持ち」が伝わってくるのが、本当に心地よく、そんなストーリーに沢山共感して心が温かくなる作品です。
本好きな学生が、町内の色々な場所で本を読み、その姿を見かけた同じく本好きな人が温かな気持ちで見守る。本好きな人が沢山登場する素晴らしい本です。

27000冊とは、学校の図書館にある本の数だそうです。27000冊ガーデンとは、学校の図書館を庭園と表した大崎梢さんらしい素晴らしいタイトルだと思いました。
こんな人におすすめ
是非とも同じように本好きな沢山の人に読んで欲しいと思いました。
物語の登場人物みんなの態度や行動から「本を好きな気持ち」が伝わってくるので、同じように本が好きな本好きの人にとっては、沢山の共感することがあるので、読み進めるだけで心が温かくなる作品です。
また、学校司書や書店員に興味がある人にもおすすめします。
「学校司書はどうやったらなれるのか。」「学校司書は、どんなことをしているのか。」がよくわかると思います。
今回ご紹介する本
本のあらすじと感想
「27000冊ガーデン」は、本への愛に満ちた図書館ミステリー小説です。
舞台は、神奈川県にある県立高校の図書館です。
学校司書として1年半前に赴任した「星川駒子さん」と図書館に本を納入しているユーカリ書店の男性書店員「針谷敬斗さん」の2人が、学校で起こる本にまつわる事件を解決する物語です。
駒子さんは、図書委員や生徒のことを第一に考えた司書さんで、「図書館の利用者を増やしたい」というのを目標に、図書館に納入する本を選んだり、図書館に来る生徒たちの声に真摯に耳を傾けている素晴らしい司書さんです。
ユーカリ書店の針谷さんは、そんな駒子さんの図書館に本を納入している書店の男性店員で、優れた洞察力のある目つきが鋭い書店員です。
そんな2人が活躍する5つの物語が編集されています。
○放課後リーディング
○過去と今と密室と
○せいしょる せいしょられる
○クリスティにあらず
○空を見上げて
「放課後リーディング」は、本好きの学生が事件に巻き込まれる話です。
困った学生が駒子さんに助けを求めてくるところから始まります。事件に巻き込まれるという表現をすると、危険な感じもしますが、どちらかと言えば、放課後に色々な場所で本を読んでいた学生の身の回りにおきる心配事に本好きのみんなが見守り、そしてフォローしてあげる。という心温まる話でした。
「過去と今と密室と」は、ある学校の図書館でおこる密室事件を2人で解決する話です。
その図書館は、過去にも密室事件が起こっていて、その時に学生だった針谷さんの記憶を頼りに、本の謎を解き明かし、過去と現在の密室事件を解き明かすミステリー小説らしい話でした。
「せいしょる せいしょられる」は、同僚の先生の悩みを2人で解決する物語です。
以前駒子さんが働いていた学校の図書館での「駒子さんが暗黒時代」と称する司書時代に関係していた先生など、複雑な人間関係を「せいしょる せいしょられる」という言葉の意味を解明して先生の悩みの解決に尽力するスピード感のあるストーリー展開の話でした。
「クリスティにあらず」は、アガサクリスティーの小説になぞらえた不思議な事件が学校でおきます。図書館で無断で持ち出された本が関係しているため、以前の学校で図書委員をしていた大工さんと一緒に3人で連携して事件の真相に迫る心地良い話でした。
「空を見上げて」は、親の虐待で児童養護施設に保護された友達の面影を追いながら、クッキング部の展示会でおばあちゃんの言葉に合った料理を作るために、思い出の1冊の本を探す話です。
家庭環境の違いで学校にも通えない生徒、その生徒の言葉を信じて27000冊の本の中から1冊の本を探す友達と図書委員、過酷な社会情勢に翻弄されながらも懸命に生きている複雑な心情に胸を打たれる話でした。

どの物語からも本への愛を感じる素晴らしいミステリー小説です。今の社会情勢なども反映された物語もあり、読み終わった後、考えさせられる小説でもありました。
まとめ
大崎梢さんの「27000冊ガーデン」をご紹介しています。
元書店員の大崎梢さんの経験が生かされた本であり、大崎梢さんの本への愛に満ちた作品で、学校の図書館を盛り上げようとがんばっている学校司書「駒子さん」、鋭い推理で事件解決の糸口を推理する書店員の「針谷さん」、駒子さんと一緒に図書館を運営している図書委員たち、登場人物みんなの態度や行動から「本を好きな気持ち」が伝わってくる本好きにとっては、沢山の共感がある心が温かくなる作品です。
是非とも同じように本好きな沢山の人に読んで欲しいと思いました。
また、学校司書や書店員に興味がある人にもおすすめします。
コメント