- もし、自分が癌になって助からないとしたら、どうしますか。
- もし、自分の愛する人が癌になって、自分より先に亡くなるとしたら、どうしますか。
「死」は、「生きる」という事と同じくらい、当たり前のことなのに、「生きる」事は考えていても、「死」について考える事は、ほとんどありません。
それは「自分は、死ぬことはない。」と心のどこかで、思っているからかも知れません。

日常生活のすぐ身近に「死」はあります。いつか「死」は、自分の身にも訪れます。
- 自分が癌になったら、どうなるのか。
- 自分の身内が、癌になったらどうなるのか。
- 自分が、死ぬ時には、何を考えるのか。
そんな「死生観」について、真剣に考えてみようと思い、稲垣麻由美さんの「人生でほんとうに大切なこと」を読んでみました。
精神腫瘍医とは

みなさんは、精神腫瘍医というお医者さんをご存知でしょうか。
精神腫瘍学というのは、心理学と腫瘍学を組み合わせた造語で、がん患者やそのご家族の心のケアを行う医療の事です。 そして、癌とともに、その人らしい人生を歩む手助けをするのが、精神腫瘍医との事です。
「人生でほんとうに大切なこと」は、精神腫瘍医として長年癌患者さんの心のケアをしておられる「清水研さん」のドキュメンタリー作品です。

癌は、治る人も沢山いらっしゃると思いますが、私には「死に至る病」というイメージがあります。 「その癌患者さんと対話してケアする。」というのは、どういう世界なのか。
「死生観」を考えるきっかけになる作品、稲垣麻由美さんの「人生でほんとうに大切なこと、がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話」をご紹介します。
こんな人におすすめ
・仕事や家族の事で悩みがあって、気分が憂鬱な人
・健康について、考えている人
・将来の事に不安を感じている人
本書は、「死」を意識する事が出来ます。
それは、「いかに生きるか」ということを、考えるきっかけになりますので、将来の事を真剣に考えられるようになれると思います。
今回ご紹介する本
「人生でほんとうに大切なこと」の内容
○精神腫瘍医の清水研さんを作者が取材して、診察に同席したりしたドキュメンタリー作品です。
○7人の癌患者さんとそのご家族の話が紹介されています。
11歳のときに小児がんを発症した少年の話。愛するご主人と二人の小学生の子供がいる37歳で胆管がんを発症したお母さんの話。等、想像するだけでも辛くなる話が紹介されています。
○本書の7人の人の物語には、人生を納得して生きるためのヒントが詰まっています。
がん体験者やそのご家族だけでなく、広く一般の人たちにも読んでいただきたいと思います。
まとめ
私は、電車の中で読んでいたのですが、患者さんの気持ちを感じて涙が出そうになって、本当に大変でした。
特に、幼い子供達がいるお母さんの話は、読んでいて本当に辛くなりました。
気が付くと「自分が癌になったら、どうするだろう」と真剣に考えていました。
でも、本書で伝えたいのは、「自分が癌になったらどうするか」を考えるためだけではありません。
「人は、死を意識するからこそ、いかに生きるかということを、真剣に考えるようになります。だから、生きるということと死ぬということは表裏一体なんだ。」と紹介されています。
日常生活で、すぐ身近にある死について考えると、毎日の一瞬の出来事でも、「素晴らしい」と感じる事が出来るようになれると思います。
そして、著者の稲垣さんの表現は大変読みやすく、理解しやすかったので、みなさんの「死生観」を考えるきっかけになれば幸いです。
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