二十四節季(にじゅうしせっき)をご存じですか。
春分、秋分、夏至、冬至という言葉も、二十四節季の言葉の1つです。
二十四節季とは、1年を「春夏秋冬」の4つの季節に分けて、さらにそれぞれの季節を6つに分けた言葉で、1年の気候や季節を表している言葉です。
「季節を感じて過ごす」というのは、家事に育児に仕事とやらなければならないことが沢山ある、多忙な現代人にとっては難しいことだと思います。
でも、多忙な生活にストレスを感じている人にこそ、「季節感のある生活」をおすすめしたいと思います。
毎日の変化の無いルーティンの中に、季節の変化を感じると気持ちをリセットしてくれると思いますし、自然のパワーを感じると心が前向きになれると思います。
今回ご紹介する本は、森下典子さんの「好日日記_季節のように生きる」です。
黒木華さんと樹木希林さん主演で映画化された「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」という作品を、ご存じの人もいらっしゃると思いますが、「好日日記」はその「日日是好日」の続編です。
お茶を初めて40年の森下さんが、二十四節季の節目での茶室の出来事をまとめたエッセイです。
1年の気候の変化、自然の移り変わりを感じながら、お茶を通して自分と向き合う森下さんの心の旅を読むと、忙しい現代人の胸の奥に清涼な風が吹き抜けるような心地良さを感じさせてくれます。

「疲れたら季節の中にいれば、それでいい」という言葉の意味が心にしみる作品です。
参考:森下典子さんの「日日是好日」は、こちらの投稿でご紹介しています。
こんな人におすすめ
日常の忙しさで余裕のない人、仕事に追われてストレスを感じている人に読んで欲しいと思います。
森下さんも仕事に追わながら原稿を執筆して、エッセイストという仕事に将来の不安を感じているそうです。でも、茶室で季節を感じながら生きている時間のおかげで、日常のストレスがリセットされているそうです。
そんな、森下さんのエッセイは、生き疲れを感じている人に読んでいただくと、沢山の共感出来る言葉があると思います。
そして、茶道をしている人、茶道に興味がある人には、本当に楽しい1冊になると思います。
今回ご紹介する本
本の内容
著者の森下典子さんは、40年以上お茶を習っているそうです。
その経験を元に描かれていた物語が「日日是好日」です。今回の「好日日記」は物語ではなく、エッセイです。
森下さんが、10年以上前にお茶の時間の出来事をノートにまとめておられました。
最初は、稽古の内容、掛け軸、花、お茶の道具、お菓子などが書き留められていたそうです。次第に稽古場での会話や稽古中に心の中にわき起こった感情、そして日々思うこと、などノートの内容は奥深い内容になっていったそうです。
ノートの内容を元にして、茶室の1年を二十四節季を節目にして振り返った作品が、「好日日記」です。
〇冬の章
- 小寒、初釜の朝
- 大寒、冬のごちそう
〇春の章
- 立春、ひとすじの香り
- 雨水、遠い春
- 啓蟄、菜の花の頃
- 春分、「柳は緑、花は紅」
- 清明・一、無言のやりとり
- 清明・二、桜、桜、桜
- 穀雨、百花繚乱
〇夏の章
- 立夏、風の潮騒
- 小満・一、早苗蛍
- 小満・二、池のほとり
- 芒種・一、青梅をもぐ
- 芒種・二、お茶室のシンクロ
- 夏至、水無月
- 小暑・一、瀧
- 小暑・二、夕立
- 大暑、釣瓶の水差し
〇秋の章
- 立秋、蝉の声
- 処暑、心の時差
- 白露、十五夜
- 秋分・一、彼岸花
- 秋分・二、すすき梅雨
- 寒露、漁夫の生涯
- 霜降、清風萬里
〇ふたたび冬の章
- 立冬、椿よ!
- 小雪、冬の音
- 大雪、虫食いの照葉
- 冬至、終わりは始まり

「好日日記」を読むと、沢山の季節を通した、茶室での豊かな時間が伝わってきます。
本を読んだ感想
「日日是好日」を読んだ時に思ったのは、仕事でも家庭のことも「いつまでも完璧に出来ない自分で良いんだ」と思って、気持ちが楽になりました。
「好日日記」も同じように、「みんな辛いことも苦しいこともある」「一生を学びの場だと思ったら良いのか」など、読むと今自分が悩んでいたことがスッと軽くなって落ち着きます。
それは、森下典子さんご自身の悩みや苦しみから語られている内容に共感出来るから、そして、森下典子さんの優しい表現でまとめられているからだと思います。特に「好日日記」は、二十四節季を節目にして1年を振り返っていますので、季節感を感じられる清々しい空気に包まれています。
- 「どうにもならない時がある、いっそ、頑張るのをやめよう」
- 「日本の季節は、今しかないことに満ちている。。。あっという間に通り過ぎる季節の中で一瞬の今を生きる」等
他にも沢山の共感出来る言葉がありますので、何度も読みたくなる本です。
まとめ
森下典子さんの「好日日記_季節のように生きる」をご紹介しています。
黒木華さんと樹木希林さん主演で映画化された「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」の続編です。
40年以上お茶を習っている著者の森下典子さんが、茶室の1年を二十四節季を節目にして振り返ったエッセイです。
1年の気候の変化、自然の移り変わりを感じながら語られる言葉は、生きづらさを感じている人の内面に、清涼感のある心地よさを感じさせてくれると思います。
職場や日常生活で生き疲れを感じている人に読んでいただくと、沢山の共感出来る言葉があると思います。
また、イラスト集に興味がある人は、「好日絵巻」をおすすめします。イラストを描くのも大好きな森下典子さんのイラスト集です。
森下典子さんの作品をまとめますと、「日日是好日」は、お茶の世界を描いた物語、「好日日記」は、お茶の世界と季節を描いたエッセイ、「好日絵巻」は、珠玉の言葉とお茶の道具やお菓子を描いたイラスト集です。

森下典子さんの作品3冊全部読んだ感想は、それぞれが味のある作品で全て面白かったです。何度も読みたい愛読書になりました。
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