【木元哉多おすすめ小説】高校生、中学生向けの読みやすいミステリー

「閻魔堂沙羅の推理奇譚」5.おすすめ小説
著者「木元哉多」作品名「閻魔堂沙羅の推理奇譚」

毒々しい赤色の生き血を連想させる真っ赤なマントが目を引く「閻魔大王の娘、沙羅」

父親の閻魔大王が休みの時に、父に代わって「死者を天国か地獄に審判する」沙羅さんですが、現世での未練を訴えて「生き返りたい」という死者にあるゲームを仕掛けます。

そのゲームの名前は、「死者復活・謎解き推理ゲーム」です。

自分を殺した犯人や死因を、死んだあとに自分で推理する謎解き推理ゲーム。

推理が出来たら生き返る「死者復活」を掛けた人生最後で最大の勝負です。

NHKの土曜日夜ドラで中条あやみさん出演で、実写ドラマ化された作品で、閻魔大王の娘「沙羅さん」と生き残りを掛けて勝負するというシチュエーションと、「自分を殺した犯人を推理する。」という今までにないストーリー展開にとても惹かれました。

木元哉多さんのレビュー作で、第55回メフィスト賞を受賞した作品で、全7巻発刊されています。

HT
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今回は、1作目の「閻魔堂沙羅の推理奇譚」をご紹介します。

作品紹介

作者:木元哉多

埼玉県出身の推理作家さん。

2017年4月に「閻魔堂沙羅の推理奇譚」で第55回メフィスト賞を受賞された期待の作家さんです。

作品名:閻魔堂沙羅の推理奇譚

全7巻まで発刊されているミステリー小説です。

1巻に3~4話の短編集が編集されている作品ですが、その中で、「6作目:閻魔堂沙羅の推理奇譚 金曜日の神隠し」「7作目:閻魔堂沙羅の推理奇譚 A+B+Cの殺人」は、長編作品になります。

今回ご紹介する本

「閻魔堂沙羅の推理奇譚」のあらすじ

閻魔様の娘、沙羅さんが担当した4人の話が、短編で描かれています。

亡くなった後に、霊体になって沙羅さんの審判を受けますが、その時に現世での未練を訴えて、沙羅さんと「死者復活・謎解き推理ゲーム」で勝負する事になります。

第1話、女子高生の智子さん、死因は絞殺

何もかも中途半端に生きてきた智子さんが、ある日父親と喧嘩して家を飛び出した後、高校の部室で絞殺されます。

犯人もわからないで死ぬ事に納得が出来ない智子さんは、天国に行くのを拒みます。そこで沙羅さんから提案されます。

「本気を出していないという智子さんの本気を見るために、10分以内に犯人を推理出来たら、生き返らせる。当てられなかったら天国にいけるけど、地獄行き」

そこで、「自分を殺した犯人を自分で推理する。」有り得ない展開になります。

智子さんは、見事推理出来たのでしょうか。

第2話、会社員の尚太さん、死因は凍死

大学を卒業して営業関係の会社に就職した尚太さん、いつも仕事でミスばかりしているので、上司には毎日怒られ、後輩には馬鹿にされる、お荷物社員。

そんな尚太さんが、冷凍室で荷物が棚から落ちてきたため、気を失って凍死します。

事故だと思っていたのが、実は殺された事を知って、生き返りたいと沙羅さんにお願いします。

尚太さんは、事故現場から、自分が殺された真相を推理する事が出来るでしょうか。

第3話、82歳の聡子さん、死因は老衰

戦後の動乱の時に老舗の呉服屋に嫁いだ聡子さん。今の時代からは考えられないくらいに姑とご主人に尽くしてきました。

それでも、老後は孫や優しい息子夫婦に囲まれて、天寿を全うして一生を終わります。

でも、どうしても心残りがあり、中々天国に行く事が出来ません。

そこで、沙羅さんから10分の時間をいただき、心残りに決着をつけようとします。

聡子さんは、心残りに決着をつけて、安らかに天国にいけたのでしょうか。

第4話、元暴走族の総長の世志輝さん、死因は撲殺

体力以外何のとりえもなく、目標の無い人生を送っていた世志輝さん。ある時、お兄さんから頼まれた事をやっている時に、多数のやくざに襲われて、撲殺されます。

なぜ、死ななければいけなかったのか、お兄さんと隣の幼馴染は、なぜ密会していたのか。気になって、天国に行こうとしません。

そこで沙羅さんと「死者復活・謎解きゲーム」で勝負します。

世志輝さんは、沙羅さんとの勝負に勝って、生き返る事が出来るのでしょうか。

まとめ

閻魔堂の沙羅さんの妖艶な美しさが上手く描かれており、その容姿に負けない超越したキャラクターにとても惹かれます。

閻魔様の娘の沙羅さんと勝負をする。

そして、その勝負は「自分を誰が殺したか推理する。」というのも面白いのですが、さらに生き返る事が出来るようになった時の、沙羅さんの現世とのかかわり方がまた、斬新で面白いです。

また、生き返った後の「生き方」が、まさに「生まれ変わったような生き方」になるので、心が温かくなります。

HT
HT

死の世界の出来事ですが、殺伐とした雰囲気は感じないストーリー展開が、本当に素晴らしい作品です。

  • 2作目の「閻魔堂沙羅の推理奇譚、業火のワイダニット」は、「過酷な自分の運命を受け入れる大事さと、前向きに人生を生きていく大切さ」を改めて教えてくれる作品でした。
  • 3作目の「閻魔堂沙羅の推理奇譚、点と線の推理ゲーム」は、「点のような事実を、線になるよう推理する。」ストーリーなので、読み応えのある作品でした。
  • 4作目の「閻魔堂沙羅の推理奇譚、負け犬たちの密室」は、沙羅さんの別の一面が見える作品で、沙羅さんを欺いて、その場を上手く切り抜けようとする人間への容赦ない仕打ちは、今までの作品には無かった斬新な話でした。

5作目以降は、私も読んでいないので、これから読んでみようと思います。

推理小説好きの人に、新人離れした筆運びと巧みなストーリーテリングが武器の木元哉多さんの、新しいスタイルの推理小説をおすすめします。

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