自宅でニュースを見ていると、親と子どもの反応に違いがあることに気付くようになりました。
例えば、国会答弁で首相が大臣の名前を言い間違える映像が流れた時に、親は「大臣の名前を言い間違えるなんて、首相失格だな」と言ってしまいます。
でも、子ども達は、そんな親の言葉に嫌な顔をします。
子ども達は「誰だって失敗はあるし、言い間違えても正しい名前に言い直したらそれで良い」と考えるようです。
「失敗」や「間違い」は、若者の特権で、色々なことに挑戦するためには「失敗」や「間違い」を恐れない気持ちが大事だと昔はわかっていたのに、いつの間にか「失敗即アウト」が当たり前になっていたようです。
「失敗」や「間違い」を許す寛容さがなくなって、一番困っているのは子ども達だと思いますし、子ども達には、「失敗を恐れずに挑戦する気持ち」をいつまでも持って欲しいと考えるようになりました。
今回ご紹介する本は、雨宮処凛さんの「生きのびるための「失敗」入門」です。
「14歳の世渡り術」シリーズの1冊で、10代の学生へのメッセージがまとめられています。
雨宮処凛さんは、作家さんであり、政治活動家で、格差や貧困をテーマにした作品を多数出版されています。日本の政治や体制などについて、熱量の高い作品を執筆されていると感じました。
その雨宮処凛さんは、中学生の頃に「美談ではなく、大人の失敗談が知りたい」と感じていたそうです。
ご自身もいじめられていた経験があり、「いじめという形で存在を否定される自分は、生きていてはいけない」と考えていたそうです。その一端は「世の大人たちは、自分のような惨めな経験をしていない。」と思っていたからだそうです。
本作品は、読んでくれた子ども達に「誰でも失敗しながら生きている」ということを知って、心が軽くなって欲しいという思いで、沢山の失敗経験者の人たちにインタビューして「失敗談」そして「失敗しても大丈夫」というメッセージが紹介されている本です。

本書を読んだおかげで、親と子どもの失敗に対する反応の違いに気付くことが出来ました。子ども達だけでなく、大人も「失敗が許される寛容な世の中を望んでいる」ことに気づかせてくれた本です。
こんな人におすすめ
10代の学生に読んで欲しいと思います。
「失敗するのが怖い」「一つの失敗が命取りになる」「失敗したと思われるのがイヤ」と感じて、「失敗することにリスクを感じて、それがプレッシャーになっている」子ども達に「失敗しても、元気に生きていける」ということに気付いて欲しいと思います。
そして、失敗を恐れずに、沢山のことにチャレンジして欲しいと思います。
親目線、社会人目線で読んでいただいても共感出来ることは、沢山あると思います。
「失敗即アウト」という現在の世相に違和感を感じて、今一番大切な「寛容さ」に気づけると思います。
今回ご紹介する本
本の内容と感想
雨宮処凛さんが、色々な人に聞いた「失敗談」がまとめられています。
第1線で活躍している人、10年以上野宿生活をしていた人、醜形恐怖症のためにアルコール依存症でひきこもりだった人、など色々な経験をしている人からの10代の人へのメッセージは、読んだ子ども達の心に響くことが沢山あると思います。
第1章:失敗や挫折は一生の仕事のエネルギー/作家あさのあつこさんに聞く
第2章:人生の経験値は、失敗することで上がっていく/元ひきこもり、元醜形恐怖、元アルコール依存症、月乃光司さんに聞く
第3章:弱さをさらけ出すことで幸せになれる/「弱いロボット」の研究者、岡田美智男さんに聞く
第4章:極寒の北極で失敗しても死なない男/探検家、角幡唯介さんに聞く
第5章:「迷惑をかける練習」をしよう/臨床心理士、東畑開人さんに聞く
第6章:他人の決めた「意味がある」に振り回されない/オタク女性ユニット「劇団雌猫」に聞く
第7章:一番幸せなことは、死なない程度に「安心して」失敗できること/NPO法人「抱樸」代表、奥田知志さんと元野宿のおじさんたちによる座談会
インタビューの最後には、必ず「10代の子ども達へのメッセージ」を語ってくれています。
失敗したことによって強くなったこと、成長するための原動力になったこと、失敗したあとにやり直しができる世の中の大切さ、など、その言葉の一言一言が、読んだ子ども達のこれからの生き方に良い影響を与えるものであり、心が少し楽になれると思います。
「失敗即アウト」ではなく、「失敗」や「間違い」は、これから沢山の挑戦をしていく10代の子ども達にとったら、絶対に経験することなので、失敗に寛容さのある世の中が大事だと改めて強く思いました。

私自身、仕事でも家庭でも「失敗しないようにする。」というのが、当たり前になっているので、年齢を重ねるごとに「失敗することへのリスク」によるストレスが増えている事にも気付いていなかったと感じました。
まとめ
雨宮処凛さんの「生きのびるための「失敗」入門」をご紹介しています。
本作品は、10代の子ども達へのメッセージが紹介されている本です。
「誰でも失敗しながら生きている」ということを知ってほしい、沢山の失敗経験者の「失敗談」そして「失敗しても大丈夫」というメッセージを知って、心が軽くなって欲しいという思いのこもった本です。
「一つの失敗が命取りになる」という「失敗即アウト」と感じている子ども達に「失敗しても、元気に生きていける」ということに気付いて欲しいと思います。そして、失敗を恐れずに、沢山のことにチャレンジして欲しいと思います。
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