物理現象は、自然界で起こる現象の事ですので、色々な身近な現象を想像されると思います。しかし、「未来に起こる物理現象を予測する」事は誰にも出来ないと思います。
天気予報士やバッターの人達は、予測している。と思われるかも知れませんが、あくまで「こうなるのではないか」と予想しているだけで、「明確に予測する」事は出来ないと思います。
もし「物理現象を予測出来る人がいたら、どんな事が出来るのでしょうか。」
それは「羽原円華さん」の活躍を知ったらわかると思います。
東野圭吾さんの「ラプラスの魔女」の主人公「羽原円華さん」が活躍する作品「魔力の胎動」は、「予測できない物理現象は無い」と口にする羽原円華さんの短編集で「風を読んだり、ナックルボールの軌跡を読んだり、川の流れを読んだり、天気を予測したりして、さまざまな問題を解決する」作品です。
そんな「物理現象を予測する」羽原円華さんが活躍するラプラスの魔女につながるスピンオフ作品の「魔力の胎動」をご紹介します。
東野圭吾さんのご紹介
東野圭吾さんは、最初から作家として活動しておられた訳ではなく、大学卒業後は、デンソーに勤務しながら、兼業作家として作家活動を開始され、その後デンソーを退職し、専業作家になったそうです。
日本を代表する作家さんで、初期の作品「放課後」から江戸川乱歩賞に受賞される等、数々の賞を受賞し、映画、ドラマの原作も多数出版されています。
私は、マンガは良く読んでいたのですが、子供が出来てからは、なぜかマンガを読まなくなり、その後「小説でも読んでみようかな」と思ったときに図書館で「放課後」を借りたのが、東野圭吾さんの作品との出会いで、そしてとても好きになりました。
東野圭吾さんの作品は、活字に慣れていない人にも読みやすい作品なので、初めて小説を読もうと思っている人におすすめしたいと思います。
今回ご紹介する本
「魔力の胎動」のあらすじ
ラプラスの魔女「羽原円華さん」と鍼灸師の「工藤ナユタさん」が、常識では解決できない問題を解決していく短編集4編と、「ラプラスの魔女」に続く書下ろし「魔力の胎動」が収録されています。
〇あの風に向かって跳べ
不調に悩むベテランスキージャンパーの復活をかけた大会で、奇跡を起こす事が出来るのか。
「風を読む」羽原円華さんは、どんな方法でベテランスキージャンパーと家族を救うのか。
〇この手で魔球を
ナックルボールを操るベテランピッチャー、そしてナックルボールをキャッチできるキャッチャー。そのキャッチャーが引退するために、新しいキャッチャーを育てる事が出来るのか。
「ナックルボールの軌跡を読む」羽原円華さんは、どんな方法で新しいキャッチャーを育てるのか。
〇その流れの行方は
工藤ナユタさんの高校時代の恩師の子供が川で溺れて植物状態になった。その事件は、母親の判断が正しかったのか、父親の判断が正しかったのか、夫婦の意見の対立を解決する事が出来るのか。
「川の流れを読む」羽原円華さんは、どんな方法で、過去の子供の川の事故を検証するのか。
〇どの道で迷っていようとも
同性愛カップルの男性パートナーが登山中に転落死した。転落した場所は、登山道から外れていたため、警察では自殺と判断され、残されたパートナーは、自分が同性愛を公表したため、自殺したと思い悩む。
パートナーは自殺したのか、それとも事故なのか。そして、工藤ナユタのトラウマは解決するのか。
「天気を予測する」羽原円華さんは、登山事故をどんな方法で解決するのか。
〇魔力の胎動
「ラプラスの魔女」に登場する地球化学研究所の青江さんの過去のストーリー。ある温泉地で起きた硫化水素による家族の死亡事故は、一家の無理心中なのか、事故なのか。
そして、「ラプラスの魔女」に続きます。
本を読んだ感想
ガリレオこと湯川学さんが不可思議な事件を解決していくストーリーをイメージしていたので、読み始めた時は、「ラプラスの魔女」シリーズとは、気づきませんでした。
でも、1話目の「あの風に向かって跳べ」を読み終わった時に、羽原円華さんの活躍が、過去の東野圭吾さんの作品と重なったので、わかりました。
ラプラスの魔女も大変面白い作品でしたので、そのシリーズが読めて本当に良かったです。
4編とも、超常現象的でありながら、身近な物理現象でもある不思議なストーリーに、すぐに心惹かれて一気に読みました。
まとめ
「予測できない物理現象は無い」と豪語する羽原円華さんの一般の人には超常現象的でありながら、身近な物理現象として解決していく不思議なストーリーの4編と「ラプラスの魔女」のスピンオフ作品「魔力の胎動」は、とても読み応えのある作品です。
東野圭吾さんの作品は、ガリレオシリーズ、加賀シリーズがシリーズ物で有名ですが、ラプラスの魔女シリーズも、これからも続けて欲しいと思いました。そして、これからの羽原円華さんの活躍を楽しみにしていきたいです。
ラプラスの魔女を読んだことが無い人にも、違和感なく読めると思いますので、東野圭吾さんの作品を好きな人にも、初めての人にもおすすめしたいと思います。
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