清水晴木さんの「さよならの向う側」を初めて読んだ時の感動は、今でも忘れられません。
「死んでしまった後に、1日だけ生き返ることができる。でも、自分の死を知っている人には会えない。家族や恋人など自分が愛する人は、自分の死を知っているから会えない。でも、愛する人のために生まれ変わった1日を生きる。」という言葉で伝えるのも難しい。感動で涙なしでは読めない小説でした。
今回ご紹介する本は、清水晴木さんの「分岐駅まほろし」です。
「さよならの向う側」を読んだ時と同じような感動と癒しに包まれる「感動ファンタジー小説」です。
人生の過去を振り返ると誰もが、「もしも、あの時に別の選択をしていたら」と思うような出来事があると思います。
そんな人の中には、「後悔」や「別れのつらさ」が大きくて「もう一度、やり直したい!」と強く願っている人もいるかも知れません。
そんな「人生の分岐点」に戻れる駅が「分岐駅まほろし」です。
「過去に戻って、どうしてもやり直したい」と強く願った人だけが、停車できる駅「分岐駅まほろし」を訪れた人たちの物語です。
「分岐駅まほろし」を訪れた人たちは、過去に戻ってどんな経験をするのか、同じように「やり直したい」と思えるほどに強く後悔していることがある人に読んでいただくと、きっと元気になれると思います。

清水晴木さんの小説を読むのは、4冊目になります。人生の悩みを抱える人たちと、現実ではありえないファンタジーの世界を上手く融合させた物語は、今回の「分岐駅まほろし」でも描かれていました。
こんな人におすすめ
新しいストーリーの物語、新しい小説家の作品をお探しの人におすすめします。
清水晴木さんは、これから活躍される小説家だと確信していますが、まだご存じない人も多いかも知れません。
清水晴木さんの感動ファンタジー小説は、身近にある死や別れなどがテーマの物語ですが、ファンタジー要素を取り入れたストーリーのおかげで、身近にある悩みが思いがけないストーリー展開で進んでいきますので、読みだすと止まらない魅力がある小説です。
登場人物は、みんな逆境にめげずに健気に生きようとしています。読んだ人はみんな、その姿に胸を打たれ、感動して元気になれると思います。
今回ご紹介する本
本のあらすじと読んだ感想
「まほろし」という駅が物語の中心にあります。
「まほろし」駅は、人生の分岐点に戻れる駅です。
ただし、「まほろし」駅に行くには3つの条件があります。その条件を満たした人だけ、「まほろし」駅で、その月の駅員と会うことができます。
3つの条件のうちの1つに「過去に戻ってどうしてもやり直したい」という強い後悔の思いがある人だけが行くことができます。
そして、「まほろし」駅から、過去の分岐点に戻って、今と違う選択をしたもう1つの人生を経験できます。
第1部、もしもあの時、告白していたら
第2部、もしもあの時、第1志望の大学に合格していたら
第3部、もしもあの時、夢を追わなければ
第4部、もしもあの時、病院に連れて行っていたら
第5部、もしもあの時
別れのつらさ、人生の後悔がある人が、「まほろし」駅に来て、過去の分岐点に戻れますが、でも、未来は何も変わりません。
「もしもあの時、別の選択をしていたら」を経験できても、人生が変わるわけではありませんが、それでも「まほろし」駅に来た人は、あの時に戻ります。
それは、「過去に戻ってどうしてもやり直したい」という強い後悔の思いがあるからです。
「過去に戻れる。でも未来は変わらない」という経験から、物語の主人公は、明日へ踏み出す勇気をもらいます。
物語の主人公が抱えている「後悔」が、思ったより身近にある「後悔」なので、沢山の人が共感できると思いました。
私も読んだ後、学生時代の好きだった女性のこと思い出しました。
「もしもあの時、告白していたら」という淡い青春を思い出すことができたことが、とても嬉しくて、読んで良かったと思いました。
他の登場人物の物語も、「もし自分が同じ経験をしたら」と考えるだけで、胸がざわつきます。そして、読み終わると胸が温かくなって、元気になれました。
「今を生きる」ということを、過去に戻った登場人物の経験から深く感じることができる作品です。
清水晴木さんの小説は、読んでるときは胸が張り裂けそうになるくらい切ないのですが、読み終わると逆境から一歩踏み出した物語の登場人物に癒されて、元気になります。
まとめ
清水晴木さんの「分岐駅まほろし」をご紹介しています。
「過去に戻って、どうしてもやり直したい」と強く願った人だけが、停車できる駅「分岐駅まほろし」を訪れた人たちの物語です。
誰もが人生を振り返ると「もしも、あの時に別の選択をしていたら」と思う出来事があると思います。そんな人生の分岐点に戻って、別の選択をした人生を経験した登場人物たちの物語です。
清水晴木さんの小説は、胸が張り裂けそうになるくらい切ないのですが、読み終わると元気になる作品です。
新しいストーリーの物語、新しい小説家の作品をお探しの人におすすめしたい作品です。
コメント