
東野圭吾さんの作品には、切なさに胸が詰まり一度読んだら一生忘れられない物語があります。
- 強盗殺人を犯した兄を持つ青年の半生を描いた物語「手紙」
- やむなく殺人を犯した母娘を隣家の天才数学者が、想像を超える方法で母娘を助ける「容疑者Xの献身」
- 夏休みに親戚の旅館で過ごす小学生が、過去の殺人事件から続く因縁に巻き込まれる「真夏の方程式」

3作品とも読み終わった後、登場人物のその後の人生を考えると切なくなる作品です。
今回ご紹介する「東野圭吾さん」の「白鳥とコウモリ」は、読んでいる時に昔の東野圭吾さんの本を思い出しました。
殺人という罪の重さ、加害者の身内にふりかかる罰、「罪と罰」がテーマの作品ですが、「白鳥とコウモリ」はそれだけでは終わりません。
さらに関係者が「未知の迷宮」に迷い込んで、それぞれの「正しさ」が交錯する物語です。
白鳥とコウモリに降りかかる現実は、切なさに胸が詰まり、一度読んだら忘れられない作品です。
今までの作品と比較しても「東野圭吾さんの最高傑作」と紹介出来る、東野版「罪と罰」が描かれている「白鳥とコウモリ」をご紹介します。
東野圭吾さんのご紹介
東野圭吾さんは、最初から作家として活動しておられた訳ではなく、大学卒業後は、デンソーに勤務しながら、兼業作家として作家活動を開始され、その後デンソーを退職し、専業作家になったそうです。
日本を代表する作家さんで、初期の作品「放課後」から江戸川乱歩賞に受賞される等、数々の賞を受賞し、映画、ドラマの原作も多数出版されています。
私は、マンガは良く読んでいたのですが、子供が出来てからは、なぜかマンガを読まなくなり、その後「小説でも読んでみようかな」と思ったときに図書館で「放課後」を借りたのが、東野圭吾さんの作品との出会いで、そしてとても好きになりました。
東野圭吾さんの作品は、活字に慣れていない人にも読みやすい作品なので、初めて小説を読もうと思っている人におすすめしたいと思います。
今回ご紹介する本
本のあらすじ
物語は、東京で発生した善良な弁護士の殺人事件から始まります。
警察の地道な捜査で、すでに時効になった殺人事件が関係している可能性が出てきます。
物語の前半で、その2つの殺人事件の犯人は、自供して解決します。
しかし、被害者の娘は、自供内容に違和感を感じます。同じく、加害者の息子も違和感を感じて、二人は自分たちの「正しさ」を信じて、真実を見つけようとします。
「罪」を犯したのは誰か、「罰」を受けるのは誰か、「未知の迷宮」を通り過ぎた先にあるのは、切なくて胸が詰まる「真実」があります。

加害者の身内が受ける偏見と差別、被害者の身内が抱える加害者への思いが、切実に伝わってくるストーリー展開です。
本を読んだ感想
加害者の身内が受ける偏見と差別は、「手紙」でも「これでもか。」というくらい描かれていたのですが、「白鳥とコウモリ」は、現在社会のSNSの誹謗中傷も描かれていたので、さらにリアルさが増していました。
「容疑者Xの献身」と「真夏の方程式」を思い出した場面は、ネタバレになりそうなので、控えさせていただきますが、人間の持つ「誠実さ」「善良さ」等が、複雑に交錯しているストーリーと、読んでいる人の好奇心を刺激するようなストーリー展開が、読むのを途中でやめられず、一気に読みました。

読み終わった後「切なくなる」東野圭吾さんの作品の集大成のような物語です。
まとめ
東野圭吾さんの作品は、表現とストーリー展開が読みやすいので「どんな人にもストレスなく、読んでいただける作品」だと思っています。
そんな東野圭吾さんの作品は、微笑ましいファンタジー感のある作品や、クスッと笑ってしまう作品等もありますが、本作品は現実社会のもの悲しさというものが、描かれていて「久しぶりに読んだ後、切なくなった」作品でした。
「手紙」「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」を好きな人には、是非ともおすすめした本ですし、東野圭吾さんの最高傑作と思える作品なので、東野圭吾さんをご存じない人にも読んでいただきたい作品です。

今は「登場人物のこれからの人生を応援したい。」と、そんな思いです。
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