
今回ご紹介する「希望の糸」は、加賀シリーズの最新作になります。
家族のあり方を描いた加賀シリーズの「麒麟の翼」のような、そして、過去の事件により引き起こされた殺人事件を描いたガリレオシリーズの「真夏の方程式」のような、「希望の糸」は、家族のあり方、人情、そして過去と現代が複雑に交錯した「巡り合い」によって起こった殺人事件を描いた作品です。
そして、加賀恭一郎さんのいとこの松宮修平さんの過去も明らかになる作品です。

「希望の糸」は、加賀シリーズでありながら、松宮刑事が主役の作品だと思いました。
- みんなは、出会う運命だったのか。
- 「巡り合い」の糸は「希望の糸」なのか。
- 家族とは、子供とはどんな存在なのか。
沢山の人の「巡り合い」の糸が複雑に交錯して起こった殺人事件に松宮刑事が挑む「希望の糸」をご紹介します。
東野圭吾さんの紹介
東野圭吾さんは、最初から作家として活動しておられた訳ではなく、大学卒業後は、デンソーに勤務しながら、兼業作家として作家活動を開始され、その後デンソーを退職し、専業作家になったそうです。
日本を代表する作家さんで、初期の作品「放課後」から江戸川乱歩賞に受賞される等、数々の賞を受賞し、映画、ドラマの原作も多数出版されています。
私は、マンガは良く読んでいたのですが、子供が出来てからは、なぜかマンガを読まなくなり、その後「小説でも読んでみようかな」と思ったときに図書館で「放課後」を借りたのが、東野圭吾さんの作品との出会いで、そしてとても好きになりました。
東野圭吾さんの作品は、活字に慣れていない人にも読みやすい作品なので、初めて小説を読もうと思っている人におすすめしたいと思います。
今回ご紹介する本
「希望の糸」のあらすじ
閑静な住宅街のおしゃれなカフェを経営する女性が、店内で殺されていた。
容疑者として浮かび上がったのは、常連客の男性と殺害された女性の元旦那。元旦那は、殺害された女性と何年も連絡していなかったのに、最近になって女性と会っていた。
- 常連客の男性は、中越地震で、二人の子供を失って、その後生まれた子供と二人暮らしをしていた。
- 元旦那は、籍こそ入れていないが、他の女性と幸せに暮らしていた。
「巡り合い」」をとても大事にして、みんなに優しく、誰に聞いても悪い事を言う人は、一人もいなかった女性は、なぜ殺されたのか。
過去から続く「巡り合い」の糸は、希望の糸なのか、それとも破滅の糸なのか。

「巡り合い」とは、長い間会っていなかった人が思いがけず会ったり、会う予定になっていた人が初めて会う事だそうです。
本を読んだ感想
本筋になっている殺人事件は、複雑な人間関係で起こっていますが、ストーリー展開が秀逸で少しずつ真相にたどり着く感覚に惹き込まれて、一気に読んでしまいました。
また、そのストーリーに松宮刑事の家族が、上手く絡まってストーリーが奥深くなっています。
松宮刑事の推理力と刑事の感、そして、真相に迫るほど大きくなる苦悩が、心に響く作品です。
まとめ
2019年7月に発刊された加賀シリーズ最新作「希望の糸」は、加賀恭一郎さんと松宮修平さんが挑む殺人事件です。
容疑者の複雑な運命、運命に翻弄される家族、そして本当の家族とはどんな存在なのか。を考えさせられる作品です。
複雑なストーリーですが、わかりやすい表現とストーリー展開のおかげで読みやすく、読むほどに惹き込まれていく作品です。
東野圭吾さんの「希望の糸」は、東野圭吾さんの作品が好きな人にも、小説を読み慣れていない人にも、おすすめしたい1冊です。
(参考)同じ加賀シリーズの「祈りの幕が下りる時」を紹介します。
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